年々サンマの水揚げ量が減少し、店頭価格が1匹6000円の高値がついたと言った、価格高騰のニュースにも驚きます。今回は、食するとなると高嶺の花なら、サンマにまつわる話で小腹を満たそうと、さんまの漢字の不思議の謎ときをしてみました。
2022年3月 更新
さんまの漢字はなぜ魚へんの一文字ではないのか
〇魚へんの一文字で書くとなると
秋の味覚、秋を代表する魚ですから魚へんに秋で、「鰍」と書きそうなものですが、残念ながらこの字は「かじか」と読みます。辞典にも載っています。
漢字の国、中国語ではドジョウを意味します。
〇時代をさかのぼって調べてみると ・・・。
江戸時代には「鰶」や[魚箴]=魚ヘンに「箴(しん)」と書く漢字があてられていたそうですが、「鰶」は、サンマの呼び名「サイラ」に由来するとも言われます。南房総地方の網元に伝わる文書には、「サンマ」とルビのふられた「鰶」の文字がみられるそうです。大正になると「鰶」と「秋刀魚」の両方が見られ、昭和になると「鰶」の文字は消滅するのだそうです。「鰶」は漢和辞典を見るとコノシロを意味する字として出てきます。[魚箴]も、サヨリを意味する字として知られています。どうやらサンマを一字で表す漢字は無いというのが正解のようです。
〇ちなみに、タチウオも魚へんの一文字がなく「太刀魚」のようですが?
魚へんに「刀」で「タチウオ」の一文字があります。
「魛」
ただしこの字は、エツ(有明海特産のニシン目カタクチイワシ科の魚)やダツ(ダツ目ダツ科の海魚)を指すこともあります。
「タチウオ」の名前の由来は、2つの説があります。
銀白色に輝く細長くて薄い体が日本刀(太刀(たち))に似ているとする説。
頭を上にして立ち泳ぎをしながらジグザグ状に進むことから、「立ち」が語源とする説も・・・。
名前の由来はどこから
「サンマ」の名前は、「体が狭い魚」を意味する「狭真魚(さまな)」が転化したという説。
大群をなして泳ぐ習性を持つことから「大きな群れ」を意味する「サワ(沢)」と「魚」を意味する「マ」からなる「サワンマ」が語源となったとする説があります。
漢字の「秋刀魚」は「秋によく獲れる刀のような形をした魚」に由来し、1922年(大正10年)の佐藤春夫の詩『秋刀魚の歌』で、広くこの漢字が知れわたるようになりました。
・秋によく捕れること
・細長い銀色の体が刀を連想させること
・魚であること
ということが「秋にとれる刀のような魚」で秋刀魚となったということでしょうか。
ちなみに
明治期に書かれた漱石の『吾輩は猫である』では、サンマは「三馬」と表記されているように、明治の頃まではサンマは脂分が多くて、食べ物としては敬遠されていたようです。
「三馬」と書く当て字は
魚市場のセリなどでサンマの「サ」の音があまり響かず、「ンマ」「ウマ」と呼ぶので当て字として「馬」が使われていたとか。
2020年のさんまの値段と漁獲量の推移
7月15日によくやく初水揚げされました。サイズが大きいものは1キロ当たり3万8000円という高値で取引され、店頭小売価格は一尾5980円でした。
今年も不漁で、高嶺の花か?
2015年以降の日本のサンマの漁獲は激減しています。背景には
2010年代前半から、漁獲の大半が北太平洋の公海で、サンマの群れが日本付近に来る前に先取りする形で漁が行われていることです。
中国、台湾、韓国の漁船が多いときには1つの漁場に50~60隻が集まり、1,000トン級の大型船も使用されています。
まとめ
さんまの漢字には、何で魚へんの一文字がないのかで、分かったこと。
検索した結果、総じて確かな根拠ある文献・文章は見つけられませんでした。諸説あるなかで、自身の感想としてまとめてみました。
漢字の大本の国、中国にはさんまを食する文化がなく、漢字も作られなかったそうな。
日本でも、明治の頃まで「さんま」を食する習慣もなく、関心もなく、したがって名前や漢字を作る必要もなかったためと思われます。
漢字の必要に迫られた頃には、すでにふさわしい魚へんの一文字はなく、やむなく「秋にとれる刀のような魚」ということで、当て字の「秋刀魚」が使われるようになったと思われます。
サンマの名前も、諸説ある語源の中から使い勝手のいい「さんま」が定着したのではないかと思われます。
秋の味覚、大衆の味を守るためには、取りつくす漁業から養殖や育てる漁業に一日も早く切り替えて、安定供給できるようになってもらいたいと、強く思った次第です。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました(感謝)
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