初夏を告げる黄金色の果実「びわ」。日本では古くから親しまれてきたこの果物は、その独特の甘酸っぱい味わいだけではなく、健康面においても様々な効能を持つことで知られています。
本記事では、びわ1個あたりのカロリーや栄養素、そして科学的に裏付けられた効能効果について詳しく解説します。
びわの基本情報
びわ(枇杷)は、バラ科ビワ属の常緑高木の果実で、学名は「Eriobotrya japonica」と呼ばれています。5月から6月にかけて収穫される初夏の果物であり、日本をはじめ中国や台湾などのアジア地域で広く栽培されています。
びわの原産地は中国とされていますが、日本でも奈良時代には既に栽培が始まっていたと言われており、長い歴史を持つ果物です。
一般的なびわ1個の重さは約30〜40g程度で、大きさや品種によって若干の差があります。果肉は黄橙色で、甘みと酸味のバランスが良く、独特の香りを持っています。
びわ1個あたりのカロリー
びわは低カロリーな果物として知られています。
1個(約30g)あたりのカロリーは、約15〜20kcal程度です。100gあたりに換算すると約50〜60kcalとなります。
このカロリー値は、リンゴ(100gあたり約57kcal)やミカン(100gあたり約46kcal)と同程度であり、果物の中でも比較的低カロリーな部類に入ります。ダイエット中の方でも安心して食べられる果物と言えるでしょう。
びわの栄養成分
びわ1個(約30g)に含まれる主な栄養素は以下の通りです。
1. 炭水化物
びわには1個あたり約4〜5gの炭水化物が含まれており、そのうち約3gは天然の糖分です。残りは食物繊維となっています。
2. ビタミン類
びわは特にビタミンAの前駆体であるβ-カロテンが豊富で、あの特徴的な黄橙色の色素となっています。1個あたり約90〜120μgのβ-カロテンを含み、これは日本人の成人1日の推奨量の約10〜15%に相当します。
その他にも、以下のビタミンが含まれています。
- ビタミンC:約3〜5mg(1日推奨量の約3〜5%)
- ビタミンE:約0.2mg(1日推奨量の約2%)
- ビタミンB群:少量(B1、B2、B6など)
3. ミネラル類
びわには様々なミネラルが含まれていますが、特にカリウムが豊富です。
- カリウム:約80〜100mg(1日推奨量の約2〜3%)
- カルシウム:約4〜5mg
- マグネシウム:約3〜4mg
- 鉄分:約0.1mg
- 亜鉛:微量
4. 食物繊維
びわ1個あたりの食物繊維は約1〜1.5g程度で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方を含んでいます。
5. ポリフェノール類
びわには様々な機能性成分が含まれています。
- クロロゲン酸
- カテキン
- エピカテキン
- プロシアニジン類
これらのポリフェノール類は強い抗酸化作用を持ち、様々な健康効果をもたらすことが研究で示されています。
びわの効能効果
科学的研究により、びわには多くの健康効果があることが示されています。
以下に主な効能効果を解説します。
1. 抗酸化作用
びわに含まれるβ-カロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類は、強力な抗酸化作用を持っています。
これらの成分は体内の活性酸素を除去し、細胞の酸化ストレスを軽減することで、老化の進行を遅らせたり、がんや生活習慣病のリスクを低減したりする可能性があります。
研究によれば、びわ抽出物は試験管内(in vitro)でのフリーラジカル消去能が高いことが示されています。
2. 消化促進・整腸作用
びわに含まれる食物繊維は、腸内環境を整え、便秘の予防・改善に役立ちます。また、古くから東洋医学ではびわは胃腸の調子を整える効果があるとされてきました。
びわに含まれるペクチンなどの水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内フローラのバランスを改善することが知られています。
3. 血糖値上昇抑制効果
びわの葉に含まれるトリテルペン類(特にコロソリン酸)には、血糖値の上昇を穏やかにする効果があることが研究で示されています。また、果実に含まれる食物繊維も糖の吸収速度を緩やかにする働きがあります。
2018年の研究では、びわの葉抽出物がインスリンのような作用を示し、2型糖尿病モデルマウスの血糖値を低下させることが報告されています。
4. 抗炎症作用
びわの葉や果実に含まれる様々な生理活性物質(特にトリテルペノイド類)には、抗炎症作用があることが研究で示されています。びわの葉エキスは伝統的に咳や喉の痛みの緩和にも用いられてきました。
最近の研究では、びわの葉エキスが炎症性サイトカインの産生を抑制することで、炎症反応を軽減する可能性が示唆されています。
5. 肝機能サポート
びわの葉エキスには肝臓を保護する効果があることが、いくつかの動物実験で示されています。特に、肝臓の解毒作用をサポートし、アルコールや薬物による肝障害を軽減する可能性があります。
2019年の研究では、びわの葉に含まれるウルソール酸やオレアノール酸などのトリテルペノイドが、肝細胞保護作用を持つことが報告されています。
6. 美肌効果
びわに含まれるビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどの抗酸化成分は、皮膚の健康維持にも役立ちます。特にビタミンCはコラーゲンの生成を促進し、肌の弾力性を保つのに重要な役割を果たします。
また、びわの種子から抽出されるオイルは、美容オイルとしても利用されており、保湿効果や肌の炎症を抑える効果があるとされています。
7. 免疫力向上
びわに含まれるビタミンC、ポリフェノール類、β-カロテンなどは、免疫系の機能を正常に保つために重要な役割を果たします。特にビタミンCは白血球の機能を高め、体の防御システムをサポートします。
研究によれば、びわ葉エキスには免疫調整作用があり、免疫細胞の活性を適切に調整する可能性が示唆されています。
びわの摂取方法と注意点
効果的な摂取方法
びわは生で食べるのが最も栄養を損なわずに摂取できる方法です。皮をむいて種を除き、果肉を楽しみましょう。その他、以下のような摂取方法もあります。
- フルーツサラダに加える:他の果物と組み合わせて彩り豊かなサラダに
- スムージーに入れる:ヨーグルトやバナナと合わせて栄養満点のスムージーに
- ジャムやコンポートに加工:保存性を高めて長期間楽しむことができます
- びわ茶として飲む:びわの葉を乾燥させてお茶として飲むことで、葉に含まれる成分も摂取できます
摂取する際の注意点
びわは多くの人にとって安全な果物ですが、以下の点に注意が必要です。
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アレルギー反応:びわにアレルギーがある方は摂取を避けてください。特に、バラ科の果物(リンゴ、モモなど)にアレルギーがある方は交差反応を起こす可能性があります。
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種子の毒性:びわの種には微量のシアン化合物が含まれているため、種は食べないよう注意してください。
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薬との相互作用:びわの葉エキスを摂取している場合、血糖降下薬や肝臓で代謝される薬剤との相互作用の可能性があります。医薬品を服用中の方は、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
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農薬:びわの表面には農薬が残留している可能性があるため、よく水で洗ってから食べましょう。できれば有機栽培のものを選ぶと安心です。
まとめ
びわは1個あたり約15〜20kcalと低カロリーながら、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維、ポリフェノール類などの栄養素を豊富に含む健康的な果物です。
抗酸化作用、消化促進効果、血糖値上昇抑制、抗炎症作用、肝機能サポート、美肌効果、免疫力向上など、様々な健康効果が科学的研究によって示されています。
季節の恵みであるびわを積極的に取り入れることで、美味しく健康的な食生活を実現しましょう。
ただし、アレルギーや薬との相互作用には注意が必要です。自分の体調や体質に合わせて、適切に摂取することをお勧めします。
旬の時期にはぜひ新鮮なびわを味わい、その豊かな栄養と効能を実感してみてください。自然の恵みが詰まったこの黄金色の果実が、あなたの健康維持に役立つことでしょう。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。(感謝)
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